東和町の米谷地区に2年前にオープンした、青いベンチが目印の「青山美容室」。
美容師として活躍するかたわら、地域の活性化にも情熱を注ぐ、菅野忍さんをご紹介します。
菅野さんは米谷出身。
専門学校進学のため仙台へ出ました。
卒業後は仙台で美容師として働きました。
その後、一度美容師の仕事を離れ、群馬県へ移り洋服屋やおむすび屋などを経て、東和町に戻りました。
「若い頃は、遊ぶ場所もないし早く外に出たいと思っていました。
でもやっぱり出てみると、地元の良さに気が付きますね。
県外にいる時って何か落ち着かなかったんです。
結婚しようという気持ちもなかったし、とにかく落ち着かなくて。
地に足がついていない感じがしていました。
それで「しっかりやろう」と思ったときに、地元のイメージしか浮かばなかったんですよ。周りに知り合いも多いし親も近くにいるし。
そんな環境で「皆のために何かできることはないか」と考えて、ぼんやりとしていたものがどんどん固まって、Uターンにつながりました。」
一度は離れた美容師の仕事でしたが、別の職に就いたことで、心境にも変化が表れたそうです。
それがUターンして美容室を開いたきっかけのひとつだったようですね。
「洋服屋さんをやっていた時も、スタッフの髪を切ったりしていたんですよ。たまにお客さんとかも(笑)。
そしたら美容師をしていた頃より“切れた”んですよね(笑)。
ファッションやデザインを勉強していくうちに自分の幅が広がった気がして、そうしているうちに「今ならもっとうまく切れるな」という気持ちになりました。
それで「東和町に帰って美容室をやろう」と思ったんです。」
「菅野」という名字なのになぜ「青山美容室」?と思った方が多いかもしれませんが、それには理由がありました。
「名前を色々考えていたんですけど、わかりやすいほうがいいと思いまして。
横文字の美容室も多いですけど、それより一発で美容室とわかる方がいいかもしれないと思ったんです。
でも「菅野美容室」だとちょっと重い感じがしたので、妻の旧姓である「青山」をもらい、高級感のある「青山美容室」という名前にしました(笑)。」
お店の内装や雑誌にも、ちょっとしたこだわりがあるそうです。
「美容室よりもカフェっぽいイメージで、お客さんにリラックスしてもらえるような内装を心がけました。
雑誌も、ファッション系は多くなくて、“ソトコト”とか“TURNS”とか“暮らしの手帖”とか、あまり美容室っぽくないものを置いています。
自分が好きなだけですけどね(笑)。」
小さい頃にお世話になった人たちが高齢で運転できなくなっても、歩いて通えるような場所にお店があったらいいんじゃないか、と開いた美容室。
菅野さんのお店は、遠方から東和町を訪れるきっかけにもなっているようです。
「お客さんはご近所さんも多いですし、登米市内の色々なところからもお越しいただいています。
ここで髪を切って、せっかく遠くまできたから「三たてそば すぎやま」でお蕎麦を食べて、「coffee ippo」でコーヒーを飲んで・・・というコースの方も結構いるみたいですよ。」
地域を盛り上げる活動も積極的に行う菅野さん。
思い立ったら即行動タイプだそうで、今年の夏はお店で、地元の高校生の写真展を開催しました。
「写真展を開く場所を探していたんですが思いつかなくて。「それならうちでやっちゃえ!」と、お店がお盆休みの間、期間限定で開催することにしました。
次はライブでもやれたらいいなと考えています。」
美容室だけにとらわれず、様々なことに挑戦する姿が素敵ですね。
「地域活性ってなんだろうとよく考えるんです。
お店をつくることなのか、イベントをすることなのか…。
でも、何より地域に住んでいる人たちがその地域を好きにならないと、本当の意味での地域活性にはならない気がしていています。
だから、好きになってもらうためにはどうしたらいいかと考えると、「人が動く」時って、ワクワクしたりとか感動したりとか「気持ちが動く」時なんじゃないかなと思うので、そういう事を創り出せないかなと思っています。
“中”の人たちが楽しそうにしていないと、“外”にも伝わらないなって。」
最後に、菅野さんの夢を教えてもらいました。
「お店や地域の活動も含め、こんな大人もいるよということを若い人たちに伝えたい。
そんな大人たちの姿を記憶にとどめてもらえれば嬉しいです。
何十年か後に思い出してもらえたらそれでいいんです。
僕たちがやるのは、次の世代のための土壌づくり。土を耕して、タネぐらいはまきたいなと思っています。
すぐに結果が出ることではないかもしれませんが、与えられるよりは自分で創って、楽しんで生きていきたいです。」
青山美容室
〒987-0902 登米市東和町米谷字元町152
TEL: 0220-23-8947
FB:https://www.facebook.com/aoyamabiyoushitu1111/